住宅ローンは金利だけで選んでいい?銀行員が見る7つのポイント
住宅ローンを選ぶとき、まず気になるのが「金利」ではないでしょうか。
住宅ローンは数千万円を20年、30年、35年と借りることも多いため、もちろん金利は重要です。
ただ、リテール銀行員として住宅ローンに関わっている私からすると、
「今、一番金利が低い銀行はどこか?」だけで住宅ローンを決めるのはおすすめしません。
意外かもしれませんが、実際にお客さまと話していると、すべての銀行の金利を0.01%単位まで細かく比較している方ばかりではありません。
そして、住宅ローンは金利以外にも確認したいポイントがたくさんあります。
この記事では、住宅ローンを選ぶときに銀行員の私なら確認する7つのポイントを、現場目線で解説します。
※この記事は一般的な情報提供を目的としています。住宅ローンの商品内容・金利・審査基準等は金融機関によって異なります。実際に利用する際は各金融機関の最新情報をご確認ください。
① ネットに表示されている「最低金利」だけで比較しない
住宅ローンを検索すると、
「変動金利 年○%〜」
といった非常に低い金利が目に入ります。
ここで知っておきたいのが、
ネットに掲載されている低い金利が、そのまま自分に適用されるとは限らない
ということです。
住宅ローンには「基準金利」と「優遇幅」があり、一般的には基準金利から優遇幅を差し引いたものが実際の適用金利になります。
この優遇幅は金融機関によって異なり、申込内容や取引条件などによって変わる場合があります。
つまり、
広告で見た最低水準の金利だけで銀行を比較しても、実際に審査を受けてみると結果が違う可能性がある
ということです。
住宅ローンを本気で比較するなら、ネット上の数字だけで決めるのではなく、実際に自分がどの程度の条件で借りられるのかを確認することが大切です。
② 不動産会社から紹介される「提携ローン」も確認する
住宅を購入すると、不動産会社やハウスメーカーから提携している金融機関を紹介されることがあります。
「ネットで自分で探した銀行の方が金利が低そうだから必要ない」
と思うかもしれません。
ただ、私は最初から候補から外す必要はないと思っています。
提携ローンには、提携先や申込条件などによって通常とは異なる条件が設定されている場合があります。
そのため、
自分でネットから申し込んだ場合の条件と、不動産会社などから紹介された住宅ローンの条件を両方確認する
のがおすすめです。
大切なのは「ネット銀行だから安い」「店舗のある銀行だから高い」と最初から決めつけないこと。
実際に自分へ提示される条件を見て比較しましょう。
変動金利を選ぶ場合、私がかなり重視したいポイントです。
③ 変動金利なら「今の金利」だけでなく将来も考える
変動金利と固定金利のどちらを選ぶか迷っている方は、「住宅ローンは変動・固定どっち?銀行員の私は今なら変動を選ぶ理由」で、現在の金利差や5年ルールも含めて詳しく解説しています。
その金利水準が10年、20年、30年と続く保証はありません。
現在の住宅ローン金利が低かったとしても、
変動金利は市場金利などの影響を受け、借入後に基準金利が見直される可能性があります。
そして最近は、「今の金利だけでは判断できない」ことが分かりやすい事例も出ています。
2026年9月には、長年ネット銀行として住宅ローンの低金利競争をしてきたドコモSMTBネット銀行(旧・住信SBIネット銀行)が、変動金利を前月から0.55%引き上げました。
一方、同じ月でもauじぶん銀行、ソニー銀行、PayPay銀行、UI銀行などの変動金利は据え置きでした。
つまり、同じ金利環境であっても、すべての銀行が同じタイミング・同じ幅で住宅ローン金利を動かすわけではありません。
銀行によって住宅ローンの金利設定や戦略には違いがあります。
だから私は、
「今、一番金利が低い銀行はどこか?」
だけではなく、
「長期間この銀行から住宅ローンを借りることをどう考えるか?」
という視点も持っておきたいと思っています。
もちろん、今回の金利引き上げだけを見て「この銀行は今後も金利が高くなる」と判断することはできません。
また、将来どの銀行がどの程度金利を上げるかを正確に予測することもできません。
ただ、住宅ローンは数十年間付き合う可能性がある商品です。
借入時点で0.1%低い銀行が、10年後も他行より0.1%低いとは限らない。
これは変動金利を選ぶうえで、頭に入れておきたいポイントだと私は考えています。
だからこそ、現在のわずかな金利差だけを根拠に、数十年間付き合う金融機関を決めるのは慎重になった方がいいでしょう。
④ 団体信用生命保険(団信)の内容を見る
住宅ローンを比較するとき、金利と同じくらい確認してほしいのが団体信用生命保険、いわゆる「団信」です。
一般的な団信だけでなく、
・がん保障
・三大疾病保障
・全疾病保障
など、金融機関によってさまざまなタイプがあります。
保障を手厚くすると金利が上乗せされる商品もあります。
そのため、
「金利0.1%の差」だけを見るのではなく、その金利でどの保障まで付いているのか
まで比較することが大切です。
住宅ローンは非常に長い契約です。
単純な金利だけではなく、万が一のときに住宅ローンがどうなるのかまで確認しておきましょう。
⑤ 手数料などを含めた「総コスト」を見る
住宅ローンでは金利以外にも費用が発生します。
例えば、
・融資事務手数料
・保証料
・登記関連費用
・繰上返済に関する手数料
などです。
金利が少し低くても、借入時の費用が高ければ、トータルでは別の住宅ローンの方が有利になる可能性があります。
特に住宅ローンは借入金額が大きいため、借入金額に対して一定割合の事務手数料が設定されている場合は金額も大きくなります。
「金利が何%か」ではなく、「住宅ローン全体でいくら支払うのか」
という視点で比較することをおすすめします。
⑥ 住宅ローン以外の「銀行との付き合い」も考える
これは私自身が住宅ローンを選ぶなら確認するポイントです。
住宅ローンは、一度借りるとその銀行と長期間付き合う可能性があります。
だから、
住宅ローン単体の商品性だけでなく、その銀行をメインで使うメリットがあるか
も考えます。
例えば金融機関によっては、住宅ローン利用者がマイカーローンやリフォームローンなどを利用するときに金利優遇を受けられる場合があります。
一方、ネット銀行などではポイント還元やグループサービスとの連携などが魅力になることもあります。
給与振込、クレジットカード、預金、ポイントなども含めて、
「この銀行と長く付き合うと、自分の生活にどんなメリットがあるか?」
まで見てみると、住宅ローンの見え方が変わります。
⑦ 最後は「自分にとって使いやすいか」
最後は意外と大切な「利便性」です。
住宅ローンは契約して終わりではありません。
借入後にも、
・繰上返済
・金利タイプの変更
・各種証明書の発行
・返済条件についての相談
などをする可能性があります。
すべてネットで完結させたい人ならネット銀行が使いやすいでしょう。
逆に、
「何かあったときは担当者や店舗で相談したい」
という人なら、店舗のある金融機関にメリットを感じるかもしれません。
これはどちらが正解という話ではありません。
自分が30年前後付き合うことを考えて、ストレスなく利用できる銀行か
という視点も持っておきたいところです。
銀行員の私ならどう選ぶ?
私なら住宅ローンを選ぶとき、
「今、一番金利が低い銀行」を探して終わりにはしません。
まず複数の金融機関を比較します。
そのうえで、
・実際に自分へ適用される金利
・将来金利が変わる可能性
・団信
・手数料
・提携ローンの条件
・住宅ローン以外の取引メリット
・普段の使いやすさ
まで見ます。
特に変動金利なら、借入時点の0.01%、0.05%の差だけではなく、
「この金融機関と長期間付き合っていくことをどう考えるか」
を重視します。
住宅ローンは数十年単位の商品だからです。
住宅ローンは「一番低い金利」ではなく「自分に合った条件」で選ぶ
住宅ローンで金利が重要なのは間違いありません。
数千万円を借りるため、わずかな金利差でも長期的には返済額に影響します。
ただし、
金利だけで住宅ローンの良し悪しは決まりません。
ネットに掲載されている金利が自分にそのまま適用されるとは限りませんし、団信や手数料、銀行の利便性などにも違いがあります。
住宅ローンを選ぶときは、
- 実際に適用される金利
- 提携ローンの条件
- 将来の金利変動
- 団信
- 手数料などの総コスト
- 銀行との長期的な付き合い
- 利便性
まで比較してみてください。
そして住宅ローンは、最初から1行に絞り込む必要はありません。
いくつか候補を作り、実際の条件を比較してから決める。
これが、銀行員として私がおすすめしたい住宅ローンの選び方です。
※本記事は筆者個人の経験・見解をもとにした一般的な情報提供であり、特定の金融機関・金融商品の推奨や勧誘を目的とするものではありません。住宅ローンの金利・商品内容・審査結果等は金融機関や申込条件によって異なります。

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