住宅ローンは変動・固定どっち?銀行員の私は今なら変動を選ぶ理由
住宅ローンを組むとき、
「変動金利と固定金利、結局どっちがいいの?」
と悩む人は多いと思います。
銀行員としてお客さまと接している私の感覚では、最近は固定金利を選ぶ人を見ることはかなり少なく、変動金利を選ぶ人が圧倒的に多いと感じます。
そして、もし私自身が今住宅ローンを組むなら、
現時点では変動金利を選びます。
理由はシンプルで、現在は変動金利と長期固定金利の金利差が大きいからです。
ただし、
「変動金利の方が金利が低いから、とりあえず変動でいい」
という考え方には賛成しません。
変動金利には当然、将来金利が上昇するリスクがあります。
大切なのは、
「金利が上がる可能性があることを理解したうえで、それでも今の金利差なら変動を選ぶのか」
を考えることです。
この記事では、現役のリテール銀行員である私が、変動金利と固定金利についてどう考えているのかを解説します。
※本記事は筆者個人の経験・見解をもとにした一般的な情報提供です。特定の金利タイプや金融商品を推奨するものではありません。住宅ローンの金利や商品内容は金融機関・審査結果等によって異なります。
そもそも変動金利と固定金利は何が違う?
まず簡単に整理します。
変動金利
変動金利は、市場金利などの動きに応じて借入期間中の金利が見直されるタイプです。
メリットは、一般的に固定金利より借入時の金利が低いこと。
一方で、将来金利が上昇すれば住宅ローンの適用金利も上昇する可能性があります。
固定金利
固定金利は、一定期間または借入期間全体の金利が固定されるタイプです。
全期間固定であれば、市場金利が上昇しても借入後の金利は変わりません。
そのため将来の返済額を計算しやすい一方、一般的には変動金利より借入時の金利が高く設定されています。
銀行員の私なら「今は変動金利」を選ぶ
私自身が今住宅ローンを組むなら、現時点では変動金利を選びます。
最大の理由は、
変動金利と長期固定金利の金利差が大きいからです。
2026年9月時点でも、条件によっては変動金利で年1%を下回る水準の商品があります。
一方、全期間固定型の代表例であるフラット35では、借入期間21年以上35年以下・融資率9割以下など一定条件の場合、最も多い金利が年3%台となっています。
もちろん、変動金利とフラット35では商品性や審査条件などが異なるため、単純に金利だけを横並びに比較することはできません。
それでも、
「将来金利が上がる可能性を受け入れる代わりに低い金利で借りる変動」
と、
「現在は高い金利を払う代わりに将来の金利上昇リスクをなくす固定」
には大きな違いがあります。
私は現在の金利差を見ると、後者に支払う安心料がかなり大きいと考えるため、今なら変動金利を選びます。
「変動金利が3%になるには?」と考えてみる
変動金利を検討するとき、
「これから金利が上がるから固定の方がいいのでは?」
という意見があります。
もちろん、その可能性はあります。
ただ私は、
「金利が上がるかどうか」だけではなく、「どこまで上がれば現在の金利差が埋まるのか」
も考えます。
例えば、仮に住宅ローンの適用金利が年0.8%だったとします。
これが年3.0%になるには、
2.2%の上昇
が必要です。
仮に住宅ローン金利が0.25%ずつ上昇すると単純化すれば、
0.80%
↓
1.05%
↓
1.30%
↓
1.55%
↓
1.80%
↓
2.05%
↓
2.30%
↓
2.55%
↓
2.80%
↓
3.05%
となり、約9回分の上昇に相当します。
ただし、ここは非常に重要です。
日銀が政策金利を0.25%引き上げれば、住宅ローンの適用金利も必ず0.25%上がる、という意味ではありません。
銀行によって基準金利や優遇幅、金利の見直し方は異なります。
この計算はあくまで、
「0.8%から3%までは、それくらい大きな金利差がある」
ことをイメージするためのシミュレーションです。
将来の金利を予測するものではありません。
だからといって「変動なら安心」ではない
なお、住宅ローンは金利だけでなく、団信・手数料・提携ローン・銀行の利便性なども含めて比較することが大切です。詳しくは「住宅ローンは金利だけで選んでいい?銀行員が見る7つのポイント」で解説しています。
ここまで読むと、
「じゃあ変動金利でいいじゃん」
と思うかもしれません。
でも、そう単純ではありません。
住宅ローンは30年、35年と続くことがあります。
その間に金利環境が大きく変わる可能性は十分あります。
また、前の記事でも紹介しましたが、同じ変動金利でも銀行によって金利の動き方が同じとは限りません。
だから変動金利を選ぶなら、
「金利は将来上がる可能性がある」
という前提で住宅ローンを組むことが大切です。
「5年ルールがあるから大丈夫」は誤解
銀行員として話していて、変動金利で誤解されやすいと感じるのが「5年ルール」です。
元利均等返済の変動金利型住宅ローンでは、金融機関によって、
金利が変わっても毎月の返済額を5年間変更しない
という仕組みがあります。
これがいわゆる5年ルールです。
例えば月10万円を返済している途中で住宅ローン金利が上昇しても、5年ルールが適用される住宅ローンなら、すぐに月々の返済額が増えるとは限りません。
ここだけを見ると、
「金利が上がっても5年間は影響がない」
ように感じます。
しかし、そうではありません。
返済額が変わらなくても「利息」は増える
ここが5年ルールで最も理解してほしいところです。
住宅ローンの毎月の返済額には、
元金+利息
が含まれています。
例えば毎月10万円返済しているとして、
金利上昇前が、
元金 8万円
利息 2万円
だったとします。
金利が上昇すると、毎月の返済額が10万円のままでも、
元金 7万円
利息 3万円
のように、返済額の中で利息が占める割合が増える可能性があります。
つまり、
毎月の返済額が変わっていないだけで、金利上昇の影響そのものがなくなったわけではありません。
元金の減り方が遅くなるため、結果として支払う利息にも影響します。
「5年ルールがあるから金利が上がっても大丈夫」
とは考えない方がいいでしょう。
5年ルールがない住宅ローンもある
さらに重要なのが、
すべての変動金利型住宅ローンに5年ルールがあるわけではない
ということです。
金融機関や商品によっては5年ルールを採用しておらず、金利が見直されると返済額も見直されるものがあります。
同様に、返済額の増加を従来の125%までに抑える、いわゆる「125%ルール」についても、採用していない金融機関があります。
そのため、
「変動金利なら5年間返済額は変わらない」
と思い込まず、
自分が借りようとしている住宅ローンに5年ルール・125%ルールがあるのか
を確認することが重要です。
では、固定金利を選んだ方がいい人は?
私は今なら変動金利を選びます。
ただ、これは全員が変動金利を選ぶべきという意味ではありません。
固定金利の最大のメリットは、
将来金利が上昇しても返済計画が変わらないこと
です。
例えば、
・今後の支出が多く、返済額が増えると家計が厳しい
・金利上昇を気にしながら生活したくない
・毎月の返済額を最後まで確定させたい
・多少金利が高くても安心感を優先したい
という人なら、固定金利を選ぶ意味は十分あります。
逆に変動金利を選ぶなら、
金利が上昇して返済負担が増えても対応できる余裕があるか
を考えておくべきです。
変動か固定かより「借りすぎない」ことの方が重要
そして銀行員として、個人的にはここがかなり重要だと思っています。
変動金利か固定金利かを一生懸命比較しても、
そもそもの借入額が家計に対して大きすぎれば、どちらを選んでも住宅ローンは苦しくなります。
変動金利を選ぶなら、
「今の金利なら毎月払える」
ではなく、
「金利が上がって返済負担が増えても払えるか」
まで考える。
固定金利を選ぶなら、
高めの金利でも無理なく返済できる借入額なのか
を考える。
金利タイプ選び以上に、余裕を持った借入額にすることが重要です。
銀行員の私が今なら変動金利を選ぶ理由
最後にまとめます。
私が2026年9月現在、自分で住宅ローンを組むなら変動金利を選びます。
理由は、
現在の変動金利と長期固定金利の金利差を考えると、私は変動金利の金利上昇リスクを取る方を選ぶから
です。
ただし、変動金利を選んで終わりにはしません。
・金利が上がった場合の返済負担
・自分の住宅ローンに5年ルールがあるか
・125%ルールがあるか
・借入額に余裕があるか
・利用する銀行の金利設定
まで確認します。
住宅ローンには何千万円というお金が動きます。
だから、
「みんな変動だから」
でも、
「これから金利が上がりそうだから固定」
でもなく、
現在の金利差と、金利が上昇したときに自分の家計が耐えられるか
をセットで考えて選ぶことが大切です。
※本記事は筆者個人の経験・見解をもとにした一般的な情報提供であり、特定の金利タイプ・金融機関・金融商品の推奨や勧誘を目的とするものではありません。将来の金利動向を予測・保証するものでもありません。

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